ぴあ×チャンネルNECO強力コラボ連載第13弾!!記念碑的な“怪作”について語る!

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 「スカパー!」の公認ガイド誌「月刊スカパー!」(ぴあ刊)とチャンネルNECOがコラボする連載コラム。NECOで放送する映画やドラマの見どころを気鋭の映画ライターさんたちが思い入れたっぷりに語り尽くしてくれます。
第13回の今回は、2月に放送する『リメインズ 美しき勇者〔つわもの〕たち』について、映画ジャーナリストの中山治美さんが熱く語る!


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巨大熊とマタギの死闘を描き、今なお異彩を放つ記念碑的な“怪作”


 クエンティン・タランティーノ監督を筆頭に、国内外でコアなファンを持つJJサニー千葉こと千葉真一。彼はなぜ、根強い人気を得ているのか? その理由の一端は、この作品を見ればわかるかもしれない。主宰していたジャパンアクションクラブ(JAC、現・シャパンアクションエンタープライズ)の創立20周年を記念して、千葉真一が初監督を務めた『リメインズ 美しき勇者〔つわもの〕たち』だ。

 物語は、タイトルからは想像もつかない“人喰い熊 vs マタギ軍団の死闘”。その描写たるや、熊の鋭い爪が人間の脳天をカチ割り、バリバリと音を立てて人肉を食べるなど、容赦のないスプラッターホラー級。だが一方で、体長3m×体重400kgのヒグマは、シーンによって妙に人間臭い動きを見せて親しみを持たせてくれる。

 トドメはクライマックス。ヒグマは女性しか襲わないことから、ヒロインのユキ(松村美香)が自らおとりとなっておびき寄せる作戦に出るのだが、熊を前にして着物を剥いだ際にあらわになる皮ビキニは大正ロマンの香りが漂い、強烈なインパクトを残す。物語は1915年(大正4年)に北海道で起こった三毛別羆事件がベースになっており、ニセコ近辺の雪山で大迫力のロケを敢行するなど、真に迫っている。しかし、実話を遥かに超える想像力が全編に炸裂しており、今なら国内外のファンタスティック映画祭で引っ張りだことなること間違いナシの1本なのだ。

 JAC創立20周年記念作とあって、スタッフ&キャストは豪華。菅原文太がマタギ軍団のリーダー役で雪山を駆ければ、今は亡き長門裕之&南田洋子夫妻も友情出演。また、千葉真一の盟友・深作欣二監督が企画監修、元JACの真田広之が主演と音楽監修を務めるなど、後方支援もバッチリだ。真田は作詞・作曲を手掛けた主題歌「リメインズ」(歌は松村美香)も提供しており、最後まで見どころたっぷり。千葉同様、今やハリウッドスターとなった真田映画としても、異彩を放つ記念碑的な怪作となっている。


文/中山治美(映画ジャーナリスト)


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ぴあ×チャンネルNECO強力コラボ連載第12弾!!無国籍な魅力はワールドワイド?!について語る!

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 「スカパー!」の公認ガイド誌「月刊スカパー!」(ぴあ刊)とチャンネルNECOがコラボする連載コラム。NECOで放送する映画やドラマの見どころを気鋭の映画ライターさんたちが思い入れたっぷりに語り尽くしてくれます。
第12回の今回は、1月に放送する『メキシコ無宿』について、映画評論家の轟夕起夫さんが熱く語る!


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我らがエースのジョー、メキシコに参上!


 かつて宍戸錠さんに取材でお会いしたとき、錠さん(と呼ばせていただきます!)は言った。「“俳優”っていう言葉が一番好きだな。“人に非(あら)ずして、人を憂える”と書いて“俳優”。やってみて、自分で天職だと思った」と。そしてこう続けた。「ずいぶん悩みもしたけれど、そういうときはオーソンさんに相談した。俺の若い頃の日記帳は、尊敬する俳優オーソン・ウェルズとの架空の会話体。“オーソンさん、こういう場合は一体どうする?”ってね」。

 そのオーソン・ウェルズが監督を手がけ、悪徳刑事を演じ、アメリカとメキシコの国境地帯を舞台にしたのは『黒い罠』('58)であったが、錠さんもメキシコで主演作を撮ったことがある。公開時のポスターに、「メキシコに日本映画初の大ロケ敢行!」と銘打たれた『メキシコ無宿』だ。'62年1月3日公開の正月映画で、監督は同じ年、(芦川いづみと)錠さんと『硝子のジョニー 野獣のように見えて』も発表した蔵原惟繕。こちらは名作の誉れ高き逸品だが『メキシコ無宿』は珍にして奇なる和製ウエスタン。故郷を追われるように来日し、命を落としたメキシコ人ペドロ(アントニオ・メリーナー)の身の潔白を証明すべく、錠さん扮する主人公、命懸けの仕事を請け負う“危険屋ジョー”が一路メキシコへ。

 ところで、60年代初頭、日活は海外ロケものに力を入れていた。先鞭をつけたのは石原裕次郎で、'59年7月12日に封切られた『世界を賭ける恋』でヨーロッパロケを敢行。同時に撮影された『裕次郎の欧州駈けある記』が同年9月1日に公開。'60年12月27日にロードショーされた『闘牛に賭ける男』ではスペインロケ。かたや小林旭は、'61年1月3日公開の『波涛を越える渡り鳥』で、香港とバンコクへ。本作には錠さんも出演していて、「あのときはトランジット(乗り継ぎ)で台北空港に立ち寄ったら、「熱烈歓迎 小林旭(シャオリンシー)先生」って横断幕が張られていて、大変な騒ぎになったヨ」と語っていた。

 さらに石原裕次郎は『アラブの嵐』('61年12月24日公開)でエジプトへ。 他にも裕次郎がアラスカ、はたまたナイアガラ、小林旭がアマゾン、赤木圭一郎がキリマンジャロへとロケする映画も企画されていたそう。日本で「海外旅行が自由化」されたのは'64年4月1日以降のこと。そういった映画群と並んで『メキシコ無宿』も当時の“観る海外旅行”のひとつであり、また、故に今なお貴重な“時代性の記録”でもあるのだ。

 ラテンアメリカで最初の社会革命の記念日(=11月20日)、街頭パレードで沸く街並み。これを手持ちカメラで捉え、ちょっと“ヌーヴェル・ヴァーグ”しているのが蔵原作品らしい。一転、サボテン茂る田舎町に舞台を移すと西部劇タッチに。ソンブレロをかぶり、マリアッチが流れ、気分は“アミーゴ”なジョーとメキシコ人俳優たちとの会話が突如、日本語吹き替えとなるトンデモな展開がスゴい。床屋のパンチョ・サンチェス役、インチキ外国語の名手・藤村有弘の怪演も見モノで、荒唐無稽な映画作りが許された大らかさがたまらない!

 '05年、イタリアのウーディネ極東映画祭で日活アクションの特集があった際、錠さんは舞台挨拶し、2,000人あまりの観客をイタリア語と日本語と英語で沸かせ、大笑いさせたという。「それくらいのことは朝飯前なんだ」。かつてメキシコでも鳴らした無国籍な宍戸錠の魅力は、ワールドワイドなのである。


文/轟夕起夫(映画評論家)


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ぴあ×チャンネルNECO強力コラボ連載第11弾!!今回はあのフォークの神様が主演した作品について語る!

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 「スカパー!」の公認ガイド誌「月刊スカパー!」(ぴあ刊)とチャンネルNECOがコラボする連載コラム。NECOで放送する映画やドラマの見どころを気鋭の映画ライターさんたちが思い入れたっぷりに語り尽くしてくれます。
第11回の今回は、12月に放送する『きつね』について、娯楽映画研究家・音楽評論家の佐藤利明さんが熱く語る!


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フォークの神様が主演した幻の映像詩


 公開2週間で打ち切られ、それゆえ封印映画扱いされ、見る機会がなかった作品がオンエアされるというのは喜ばしいこと。主演はフォークの神様・岡林信康。“くそくらえったら死んじまえ”の「くそくらえ節」など、プロテストソングで伝説的存在となった岡林は、僕にとっては、あの“はっぴいえんど”を従えていただけでもう神様なのである。

 この『きつね』は、破傷風の恐怖をまるでホラー映画のように描いた『震える舌』の野村芳太郎(製作)と井手雅人(脚本)のコンビが、大船育ちの新人・仲倉重郎を監督に迎えて、キタキツネなどを媒介とする“エキノコックス病”に侵された少女と若き科学者との恋を描いた作品だ。

 当時、映画の原稿を書き始めたばかりの僕は、あらぬ期待を抱いて松竹の試写室で『きつね』を見た。『北の国から』や『キタキツネ物語』で、すっかり北海道の親善大使のようなイメージとなっていた“きつね”が、恐ろしい病気の宿主だったという、ホラー風味の難病ものと思い込んでいたからだ。だが、期待は見事に裏切られた。一般公募で選ばれた当時14歳の高橋香織の眼ヂカラに圧倒された。少女という時代にしかない、ふとした表情の危うさ。周到に計算されたドラマの中の、計算しようがない美しさに魅了された。

 初夏の根釧原野。北海道で低温科学を研究する35歳の科学者・緒方(岡林)が、14歳の少女・万耶(高橋)と出会う。彼女は緒方に淡い恋心を抱き、人妻(三田佳子)との不倫に疲れていた緒方は、少女のひたむきさに心を動かされる。

 坂本典隆のキャメラが捉えた美しい北海道の自然。これまで演技とは無縁だった岡林信康の朴訥さ、何を考えているわからない男の優柔不断さと、高橋香織の少女特有の美しさ。二人の素人が、かくもナチュラルに、ストレートに迫ってくると、不思議な感動がある。

 やがて万耶は、“エキノコックス病”で死期が近いことを知る。何も知らない緒方と、残り少ない命を生きようとする万耶。いくつになっても男は女の気持ちなどわかっちゃいない、ということも含めて、さすが井手雅人脚本。クライマックス、万耶の“精神的”仇討ちのために、緒方が流氷に乗ってやってくる“きつね”をハンティングに行くシーンは、一歩間違えば凡庸になってしまうのに、力強いカタルシスがある。

 動物を猟銃で撃ち、オジサンは少女と結ばれる。現在のモラルでは考えられない “くそくらえ!”な部分も、今ではカルトの由縁かも?


文/佐藤利明(娯楽映画研究家・音楽評論家)


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